連載でお世話になってる雑誌「ケトル」の最新号がタモリ特集なんですが。


あっさりした表紙とは裏腹にかなり濃厚。さっそく重版がかかったという渾身の1冊は、目次だけみてもその濃厚さがわかってもらえるかと思います。
特集 やっぱりタモリが大好き!
  • 松岡正剛によるタモリ論「タモリとはナポリタンである」
  • タモリ年表
  • 森田一義が“タモリ”になった7つのキーワード
  • タモリの見てきた風景
  • 日本一のサラリーマン・タモリに学ぶ人生訓
  • タモリ「モノ」図鑑~人生で大切なことは、中華鍋に学んだ~
  • 料理とはJAZZであ~る。
  • タモリファンなら行ってて当然! タモリの聖地100ヶ所コンプリート住所録
  • もう読んでるとは思うけど…タモリがわかる本45冊
  • タモリファンなら聴いてて当然!おさらいディスクガイド
  • 「博士の愛したタモリ」水道橋博士
何これこわい(いい意味で)。

僕もタモさん好きの端くれなので完成を楽しみにしてたんですが、想像以上にタモさん過ぎる出来栄えで、数ページ読んだだけで熱に浮かされそうな勢いであります。

もう初っぱなの「松岡正剛によるタモリ論」からしてどっしりフルボディ。さすがは編集界の巨匠って感じで、つかみどころのないタモリの才能を、独特の言葉遣いでぴしゃり、と表現してて爽快感すら感じる。

タモリ論を語るうえで、彼の芸には、仕込まない、批判しない、力まないという「タモリ三原則」があります。

わかる。タモさんは常にフラットで、舞台の中央にいながら力むことなく俯瞰して見てる。主にも脇にもとどまることなく、ただそこに在るという感じ。それを的確に3つにまとめる技術。タモさんについてフツーそこまでロジカルに考えないと思うんだけど、さらっと言い当てちゃうあたりがやっぱすごいわ、と。

どれだけ個性的であっても、基本的にテレビにとって出演者としては消費財。(中略)彼はこうしたテレビの構造的な問題に、鋭い洞察力でかなり早い段階から気がついていたんだと思います。そこで誰からも等しく距離を取ることで、消費財であることを避けようとした。

なぜ芸人タモリは司会者になったのか、という問いに対する洞察。なるほど。エンタやレッドカーペットで一発屋が量産されるはるかに以前から、本当にそう感じ取っていたとすれば、さすがはタモさんって感じで妙にうれしくなる。

そう、タモさんのことをほめられるのってなんか嬉しくなるんだよな。なんだろうこの(僕にとっての)絶妙な立ち位置は。

もちろんタモさんのこと嫌いな人がたくさんいるのは知ってるし、人々の時間が断片化していくなか、「いいとも!」はある意味終わってしかるべきだったのかな、と思うけど、僕は、タモさんをほめられると嬉しい。ってことに気づいた。

僕が思うに、タモリはテレビ界の村上春樹

もうここまで来ると、レベルが高すぎてよくわからなくなってきたんだけど、とりあえず村上春樹を読みなおそうかと。いや、それはめんどくさいか。

編集長の嶋さんはケトルのコンセプトを「好きだったらここまで調べる」とおっしゃっていたけれど、この1冊は徹底っぷりがハンパなくて、仕事とはかくあるべしだ!とチームメンバーにとっては迷惑極まりない熱意をおびてしまいました。


ちなみに今号の僕のコラムは「父親の覚悟」について。かなり自分の生い立ちについて赤裸々に語っちゃったんだけど、スピード重版がかかるほどの号にこのコラムが載ったことに、なにやら因縁めいたものを感じずにはいられません。


ケトル VOL.16
山本兼一
太田出版
2013-12-14